死の淵のうちの仔と過ごす時間

今夜は髪のことでも
頭皮のことでもありません。

愛するペットとの
お別れの日のことです。

心が向かない時は無理なさらず
どうぞ静かに閉じてくださいね。

・・・・・・・・・・・・・・

うちの仔
ミニチュアダックスが
このところ数日
死の淵をさまよっています。

 

半年前にも重い膵炎で
治らない病気を持ったまま

体に負担のかからない
病院から処方されるご飯を食べて

数日前までぴんぴん
元気に暮らしていたのですが…

 

4日前から急にご飯を受けつけず
たぶんお腹が痛すぎて
座ることもできず

ずーっと立ったまま
寝られない日が始まりました。

 

翌日診てもらうと
肝臓に大きな腫瘍ができて
腹膜炎を発症

それが痛くて苦しくて
ずっと吐いている原因だそうです。

 

日中私が仕事に出ている間
この仔のお世話をしているのは
私の実母お母さんです。

高齢の母は2月に入ってすぐのころ
急に足腰がおぼつかなくなり

これまでやってもらっていた
家事がほぼできなくなっていました。

 

6人家族と犬1匹のお世話を
かなり頑張らないと
な柴田の毎日が始まりました。

 

こうなってみて感じている
一番の問題は

誰よりも細やかな神経で
痛いとかを見ていられない
老いた母の心労でした。

「苦しいね」
「可哀想に」と

背中をさすって
四六時中気にしている
母が鬱になりそうです。

 

前に飼っていたシーズーは
病気で治療中でしたが
ある日夜中に急に苦しみだして

診てもらっていた病院も
ほかの何件もの動物病院も

電話が繋がらずとか
診てももらえず

やっと受け付けてくれた
遠方の知らない病院へ車を走らせ

きゃんきゃん泣き叫ぶ仔を胸に抱いて
看取った悲しい経験があったんです。

 

これまでずっと
両親の部屋の布団の間で
寝ていた犬を居間に連れてきて

1時間おきに吐くので
ひと晩中電気をつけたまま

すぐ横に長座布団しいて
私が添い寝していたのですが

 

動物病院が休みに入る前の日
土曜日の朝

「もう楽にしてあげてほしい」
って母が言ったんです。

 

治ることのない膵炎と肝臓腫瘍
水も舐めるのがやっとで
全然ご飯を口にしておらず

寝顔を見ながら
息をしているのかを確認する日々

泣きながら最後のハグをして
死に際に立ち会うと
トラウマになりそうだった娘を
家に置いて動物病院へ向かいました。

 

着くまでの30分間
頭の中では
「14年間ほんとうに楽しかったよ」
「家族でいてくれてありがとう」
「痛くない・苦しくない・怖くないよ」

って半ば自分に言い聞かせるかのように
繰り返し祈っていました。

 

診察室に入ってすぐに
家族での決断を医師に伝えると

「…今苦しんで死にそうでもないのに
安楽死の注射を打つことなんてできない」

「病気を抱えながらも苦しくないように
対処療法でここから1年
また一緒に暮らせるかもしれないのに?」

「そんな人間に都合のいいように
寝たまま静かに死ぬなんて虫のいい話はない」

「たとえ最後がどうなろうとも
そこまで苦しみも家族みんなで
この仔と一緒に共有してあげてください」

「苦しむのを見たくないから
早めに処置をなんて…この仔が可哀想すぎます」

診察台の上から不安そうに私を見上げる
うちの仔の目を見て
涙が溢れて何も言えませんでした。

 

帰りの車では今にも止まりそうな
虫の息の仔を抱いて

それでも生きて一緒に
家族の待つ家に連れて帰れることに

嬉しさと安堵の気持ちで
満たされているのでした。

 

今日は少しだけ
顔をあげて水を飲みたい
そぶりを見せています。

明らかに昨日よりは
元気になっています。

ご飯も食べられず
立ち上がることもできませんが

家族みんなで見つめて
声をかけて囲んで暮らしています。

 

この仔が苦しくないように
という言い訳で

見捨てて終わらせようとしたのは
人のエゴであり弱さだったと
今は痛感して

この仔が命を燃え尽して
静かに目を閉じる瞬間まで

一緒にいられる愛おしい時間を
大事に刻んでいこうと思っています。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

この仔が家に来たのは
娘が4才の頃

毎日帰りの遅い私を待ちきれなくて
ずーっと泣くようになっていて

「赤ちゃんはなんでうちには来ないの?」
と言い出し

お婆ちゃんが根負けして
娘の遊び相手にと
この仔を家族に迎え入れたのでした。

 

その日からは毎日
保育園から帰ると
嫌がる仔犬を胸にギュッと抱き

泣かないで私の帰りを待ち
姉妹のように育った娘とこの仔

ペットロスにならないかと
本当に心配です…

 

・・・・・・・・・・・・・・

これまで何代も
同じ犬種を飼いつづけ

ペットロスに向き合う
友だちの話し

死に別れる時に
思いっきり悲しんで
枯れるまで泣かないといけない。

「今までありがとう」
「楽しかったよ」

と良かった思い出を声に出して
伝えることをしないままでいると
半年1年たったころ

自分ではどうすることもできない
後悔や自分を責める念に支配され

悲しみの淵からあがれなくなり
気づけば深刻な鬱に陥ってしまうと。

 

今の自分は
その先のことまで
どうなるか分からないけれども

お別れの日がきたのなら
心のままに泣いて
ありがとうを伝えようと思います。

 

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